【ブログ】不動産投資における節税対策の仕組みとは
不動産投資は「所得税」「住民税」のほか、「相続税」や「贈与税」などの節税対策としても有効です。そこで今回は、具体的な仕組みをご紹介しながら、不動産投資の節税効果について考察していきます。
□簡単にわかる節税の仕組み
納める税金の金額を大きく左右するのは「損益通算」です。損益通算とは「給与所得から不動産所得の支出を引いた額」を指します。
損益通算 = 給与所得 + 不動産所得(不動産の収入 - 支出)
ここで、それぞれの用語の意味を再確認しておきましょう。
・給与所得
法人などの会社から支給される給料です。
・不動産所得
不動産投資によって得た利益から必要経費を差し引いた金額です。
つまり、不動産所得のトータルが赤字になれば通算損益が減少するので、課税対象額が少なくなり、節税に繋がります。
○減価償却
税務上、不動産の購入費用は定められた耐用年数に分割して経費にすることができます。これが「減価償却」です。
耐用年数は建物の構造によって異なります。
構造 |
耐用年数 |
軽量鉄骨 |
19年 |
木造 |
22年 |
鉄骨 |
34年 |
鉄筋コンクリート |
47年 |
減価償却費は実際に現金を動かすことなく費用に計上できるため、建物の減価償却期間中は、その恩恵を受け続けられます。なお、土地は減価償却の対象になりません。
□節税効果の具体例
ここでは、給与の課税対象所得が450万円のケースにおける所得税額の変化を見てみます。通常は下記のように所得税額が弾き出されます。
450万円 × 0.20 - 42万7500円 = 47万2500円
しかし、不動産所得が130万円の赤字だった場合、課税対象額が320万円になるので、下記のようになります。
320万円 × 0.10 - 9万7500 = 22万2500円
したがって、25万円の所得税が還付されるというわけです。
□節税対策のリスク
不動産投資の節税は、不動産所得に赤字が発生して初めてその効果が得られます。逆に言えば、利益が生じて黒字転換すれば税額も増加します。とくに、耐用年数を超過後に減価償却費がなくなると、一気に経費が減って黒字化するので注意が必要です。
また、意図的とはいえ、何でも経費に計上してしまう方もいらっしゃいますが、過剰にやりすぎると、税務署から怒られます。追徴課税はばかになりません。また、赤字経営が続けば、次の物件を購入するための融資が受けられなくなる可能性もあります。
いずれにしても、節税目的だけの不動産投資はデメリットも出てきてしまいます。本来の目的を失わず、中長期的な利益を目指した投資を目指したいところです。
□まとめ
改めて、節税対策の仕組みについてまとめます。
・節税対策では「損益通算」と「減価償却」が重要
・耐用年数は物件の構造によって異なる
・節税のみを目的とした投資はデメリットの可能性も
不動産投資による節税では、どうしても「赤字」で計上したくなるところですが、銀行からの融資や社会的な信用を考慮すれば、メリットばかりとは言えないでしょう。節税だけに気を取られず、堅実な物件選びを最重視していきましょう。